深紅の復讐~イジメの悪夢~


でもさ、急にうちに来て、ずかずかと上がり込んでくるの、おかしくない?

ちょっと、ひと言言ってあげなきゃ……。



「あの…!!清水さんと、八神…さん?勝手に人のうちに入らないでもらえます?それ………に……」



わたしの言葉は、それ以上続かなかった。

なに…これ!


ど、どうなっているの…??


そこには、裸にされて、脚があらぬ方向に曲がっている男女…。

女の方は……お母さん!



「な…なんて事するの!お母さんに!!」



八神たちを睨む。

お母さんも、男も、逃げようと必死にもがいているが、八神に脚を踏まれて、悶え苦しむ。


それに……、なんなの?

この、鼻につく匂いは。

これ、ガソリンスタンドとかで漂う匂いじゃない!

待って、もしかして、ガソリンが撒いてあるの!?


なに、する気なの、このひとたち!!




「あ、そうそう、白波さん、気づいてないかもだけど、この男、あんたの父親だから〜。」




清水さんがニヤニヤしながら言う。

お父……さん…?

この人が…?

わたしは、全裸にされてうめき声をあげる男を見た。

少し太った中年のおじさん。

無精髭が生えていて、物騒な顔をしている。


この人が…お父さん?

わたしたちを見捨てて…出ていったお父さん?

わたしのことを殴っていた、お父さん?

でも、その顔はどことなくわたしに似ていて。




ふ…はははは…。




やっぱり、わたしは、「わたし」だわ。

こんな両親から産まれた、こんな白波柑奈。

寂しく寂しく育ってきた、白波柑奈だ。

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