深紅の復讐~イジメの悪夢~

愛香が、フライパンを振りかざす。



「い…!」



喉の奥がヒュウッとなる。

慌てて目を瞑る。

でも、フライパンは容赦なくわたしを襲う。

頭から脚まで、殴られる。

その度に激痛が体を襲う。

わたしの目からは涙がとどめなく溢れた。



「はぁ…はぁ…。」



愛香が息を切らす。

わたしは、身体中が腫れ上がって、動けなかった。




「もう、いい。あんたたちは、これから焼け死ぬのよ。焼き肉になるのよ…。」




愛香が肩で息をしながら不気味に笑う。

手には、やはりバーナー。

あれで火をつければ、この家は燃えるだろう。

逃げられないわたしたちは、死ぬだろう…。

わたしは、我慢の限界だった。



「あたし」に対して。



ふざけんな!!

なんで、「わたし」ばっかり辛い思いをしなくちゃいけないの?

悪いことをしているのは、全て、「あたし」なのに。

なんで、「あたし」は辛いことから逃げるの?

どうして、「わたし」に全部を背負わすの??

ふざけんな!!「あたし」っ!!



今までやったことはないけど、やってみる。

何もわからないまま、「あたし」が消えていくなんて許せない。

「わたし」だけが苦しまなくてはいけないなんて、納得ができない!


出てきなさい、「あたし」!!

< 206 / 332 >

この作品をシェア

pagetop