深紅の復讐~イジメの悪夢~



「俺の親だって、あんたの親と同じ…いや、それ以上のクズだよ。」

「え…?」



八神は続ける。



「あんたは、保身のために嘘をついているんだろう?俺も同じ。よく分かるんだよ…。」

「っ……。」



遅い。

今、同じ経験をした人と出会ったって…。

遅いよ………。




「っ……くぅ……」




それでも、目からは涙が溢れる。




「辛いのは、よく分かる。ただ…。『白波柑奈は、清水愛香をいじめた。』この事実は、変えられないんだよ。」




分かっている…。

今日、理解したよ。

あたしは、清水愛香をいじめて、追い詰めた。

許されることじゃない。


カーテンに炎が引火して、燃え上がる。

炎が激しくなり、頬を撫でる。



「……お疲れ様。」




八神が、手をそっと握ってくれる。

八神の手は、温かかった。

あたしが、わたしが、ずっと求めていた、温もり。

人の温もり———。




「うあああああああああん!!!!」




両目から涙が流れる。

愛に飢えたわたしが、あたしが。

最後に貰った温もり。



———人生で、最初で最後の。



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