深紅の復讐~イジメの悪夢~
「うん……。」
あたしは、静かに答えた。
正しいことをしたと思っている。
柑奈が反省してくれたらいいんだけど…
それに、復讐が成功したことを喜ぶ自分が、どこかにいる。
どっちにしろ、あたしを傷つけて追い込んだ人の一人だ。
あたしは、間違っていない…。
「ねえ、夜風。」
「なに?」
あたしは、ずっと聞きたかったことを聞いた。
「百合香って、どこの病院に入院しているの?お見舞いに行きたいんだけど。夜風なら知っているんじゃない?」
夜風はあたしを見つめる。
「そりゃあ、知っているけど…。」
あたしの顔は、ぱあっと輝いたんだろうな。
嬉しかった。
百合香に会いたかった。
「どこ?どこの病院なの?」
夜風が腕を上げる。
「そこ。」
ん?
んん?
あたしは、夜風の指の方向を二度見か三度見した。
夜風が指差しているのは…。
今いる公園の隣にある、総合病院だった。
「ち、近…!?」
なんだ、歩いてここから徒歩2分じゃん。
あたしは、立ち上がって病院に行った。
「あ、ちょっ…、」
夜風がなにかを言いたそうな顔をする。
でも、ごめん、あとでね。
いまは、あたしは一人で百合香に会いたいの。
「また明日!」
あたしは、その場を走り去った。