深紅の復讐~イジメの悪夢~
「バカ!!!」
その声とともに、あたしの頬がなる。
「麗華……ちゃん…?」
彼女の瞳には、非難の色が、広がっていた。
どこまでも澄んだ瞳に、ダイヤモンドのような涙を浮かべている。
………ああ、美しいな。
麗華ちゃんは、美しい。
怒っている彼女も、泣いている彼女も。
あたしのことを叩いた彼女も、全部、好き。
あたしは、あなたの、全テが好キ。
「なんで暴力なんて振るうの!?ひどいよ、彩綾ちゃんっ!」
正義感に燃える、あなたも、大好き。
ステキだなぁ…。
あたしの目から涙が一筋溢れた。
感動したんだ。
麗華ちゃんの美しさに。
「え……!あ、ごめん彩綾ちゃん…、言い過ぎた。」
彼女は急にオロオロして謝る。
いいんだよぉ、麗華ちゃん。
うふふふふふ、謝っているあなたも、ステキ。
あたしの頬は痛む。
その痛みまでも、搾り取るように味わい尽くしたい。
「いいの、いいの。ありがとぉ、麗華ちゃん。」
頬が緩んでしまうのを堪えるのに必死だった。
そのおかげであたしの顔は歪む。
泣き出しそうな顔をしているのだろう。
ああ、嫌だなぁ、こんな顔。
醜い顔は嫌だなぁ!
麗華ちゃんと釣り合えるような顔になりたいなぁ…。