深紅の復讐~イジメの悪夢~


あたしは、スマホを高々と掲げた。

吐き気がするが、我慢してぶーちゃんを睨む。

あたしの長い髪の毛が、視界の半分を遮る。




「だけど……。あたしは、諦めないっ!」



そう言ってあたしはぶーちゃんに宣戦布告した。




「……このっ!」




まんまと引っかかり、逆上する愛香。

こっちに走ってくる愛香を、見つめながら、あたしは、静かに柵にかけた手に力を入れる。


麗華姫……。


裏切られちゃったけど、大好きだよ。

その気持ちは、変わらない。

麗華姫には、生きてほしい。


だから……。


だから、あたしは、体を張って、守る。

麗華姫、あなたのことを。


いつまでも……見守っている。



ぶーちゃんの手が、あたしのスマホに触れそうになる。

だけど、ひとまわり背の高いあたしは、スマホを高く掲げて、笑った。



「さようなら。」



最後の、最後の、あたしの抵抗。

なるがままにされてたまるかってんだ。

あんたの言いなりにはならない、愛香。





あたしは、屋上の床を、渾身の力で強く蹴った。

あたしの体は、手を軸にして、柵をふわりと超える。


折れた胸に激痛が走る。


風が頬を撫でる。

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