深紅の復讐~イジメの悪夢~
第二章 地獄へ
絶望の始まり
「4年B組には話がある。この場に残りなさい。」
翌日、朝礼の後、校長先生が言った言葉。
あたしの手が、小刻みに震える。
とうとう、やってしまった。
私の判断は、間違っていないよね…?
「今朝、ある生徒から、このクラスにイジメがあるとの告発を受けた。」
隣に佐藤先生が神妙な顔つきで立っている。
「イジメの主犯者は、白神麗華、清澄彩綾、松本聖理奈、白波柑奈、渡辺奈々美だそうだ。これは、本当か?」
クラス中が、一気に緊張に包まれた。
取り巻きたちは、震えている。
奈々美なんかは、泣きそうな顔をしている。
これで、イジメがなくなれば。
悲しむ人がいなくなれば。
麗華たちが、罪を認めて、謝れば。
あたしの、行動は無駄じゃない。
ドクドクと心臓の音が耳に響く。
沈黙が続く。
あたしは…あたしは、正しいことをした。
あたしができる、全力。
「どうなんだ?」
校長先生が釘を刺すように、ゆっくりと言う。
永遠とも感じるような沈黙。
実際はほんの数十秒だったかもしれないけど、あたしには、永遠に感じられた。
その時、スッと麗華が立ち上がった。
「あの、先生、あたし、あたしたち…」
次の麗華の一言で、全てが決まる。