深紅の復讐~イジメの悪夢~

いつの間にか、帰ってきていた。

夜風の戦略で、あたしたちは罪を疑われなかった。

夜風は、あの、ネットに晒した画像を証拠として、ヤクザたちを通報した。

ヤクザたちは、じきに捕まるだろう。

でも、あたしにとってそんなことはどうでもよかった。

奈々美、麗華。

あんたたち。

次は、どちらが生贄になるのかな?


あたしは、ベッドの枕に顔を埋めた。


精神的に不安定になり、色々な感情が胸に渦巻く。

この邪魔な感情をどうにかしたい。



あたしは、単純にそう思った。



そうしたら、勝手に体が動いていた。

手首にカミソリを当て……。


横に、スッと動かした。









すごく、すごく浅い傷だった。

しかし、それはあたしの不安定な心を満たすのに十分だった。



「あはは……あはっ…」



うつろな笑い声が口から紡がれる。

復讐は、私の心を壊すのに十分だった。

辛くて、悲しくて、苦しくて、諦めたくなる。

すべてをやめて、自分自身が消えてしまいたい。




だけど……

憎しみが、心の底から湧き上がる憎しみが、あたしを支配している。

逃げられない。

憎しみは、あたしの体を、強く強くつかんでいる。


あぁ、あたしはもともと壊れていたんだ。


あたしを壊したのは、紛れもなく、あいつら。

あたしは、このどうしようもない憎しみを晴らすために、復讐を続けるんだ。
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