深紅の復讐~イジメの悪夢~


「あっ……」


振り向くと、彩綾ちゃん、柑奈ちゃん、聖理奈ちゃんがじっとりとした目であたしを見ていた。

っ…。

これで…これで良いんだよね?



「あはっ、振られちゃったかぁ〜、まぁいいや!」



突然麗華姫が眉を下げて笑った。

場が明るい雰囲気になり、周りの雑音も戻ってきた。

よ、よかった。
機嫌を損ねないで済んだみたい……。

ほっと胸を撫で下ろしたあたしを、麗華姫が、試着室付きのトイレへと連れて行った。



「ななみん、ここ座って〜、メイクしてあげる!!」



麗華姫があたしを鏡の前の椅子に座らせた。

麗華姫と柑奈ちゃんが目配せした。


「おっけー、可愛くしてあげるよ!」

「あっ…」


何も言う暇のないまま、柑奈ちゃんがメイク用品を取り出して、あたしの顔に何かを塗っていく。



「ちょっと待っててね〜、すぐ可愛くなるよ!」



柑奈ちゃんが耳元で囁いた。

何をされているのかわからず、不安な時間が過ぎた。
目も開けられず、暗闇の中、柑奈ちゃんに身を委ねるしかなかった。

最後に、ヘアアイロンで髪の毛を巻かれて、肩を叩かれた。



「はい、完成っ!可愛くなったよ〜」



あたしは恐る恐る目を開けた。



「………えっ……」



鏡の中の自分を直視して、目を疑った。



「これが……あたし…?」



ほろり、涙が頬を伝った。
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