深紅の復讐~イジメの悪夢~


「っ……可愛いっ…!!」


信じられない、これがあたし??

鏡の中には、見たことのない人が写っていた。

パッチリとした目、高い鼻、ふっくらとした唇、血色のいい肌。

いつものあたしが、消え去っていた。



「やっぱり、化ける顔だよ〜〜、かっわい〜〜!」



彩綾ちゃんがあたしの頭を軽く叩いた。

頬が赤くなっていくのを感じた。



「す、すごい、すごいよこれ!」



柑奈ちゃんを振り返ると、にっこり笑って応えてくれた。



「じゃあ、着替えもしちゃおうか〜〜」



聖理奈ちゃんがあたしを、人気のない試着室に連れて行った。

タレントの聖理奈ちゃんが選んでくれた服。

絶対にあたしには似合わないと思っていたけど……。
ちょっとだけ。

ちょっとだけ、着てみても良いかも、と思えてきた。


試着室に入り、カーテンを閉め、買い物袋を開いた。

この先一生着ないはずだった、リボンやレースのついた可愛い服と短いスカート。

着ようと思って手に取ったその瞬間。

いきなりカーテンが開け放たれた。



「きゃっ」



慌てて飛び退いた。



「大丈夫〜!人いないから!」



麗華姫が微笑んであたしに何かを手渡した。



「言ってなかったんだけどぉ、あたし、さっき水着も買ってきたんだよねぇ」



え……、水着??



「それ、着てみてよぉ〜」



屈託のない笑顔。
< 327 / 332 >

この作品をシェア

pagetop