深紅の復讐~イジメの悪夢~


翌日、百合香は、いなかった。

休んでいたのだ。



「清水愛香〜!ちょっときて!」



昼休み、柑奈に言われてあたしは、麗華たちに近づいた。


「ねえ、今から、3分以内に、ウチらのパック弁当、買ってきて。早く!」


今度は…パシリ?
でも、あたし、お金あんまり持っていない…


「あ…あの、お金…」

「はぁっ!?そんなの自分で持ってんだろ?」

「え…?」

「早く行けって言ってんだよ!!」


柑奈に睨まれて、あたしは急いで教室を飛び出した。

購買に行ってパック弁当を5人分買う。

あたしの財布はほぼ空になった。


「か、買ってきたよ…」

「おせーよ。」


柑奈たちはお礼も言わずにあたしの手から弁当をひったくり、みんなで分け始めた。


グゥウウ…


匂いに刺激されてお腹が鳴る。

みんなの分を買ってしまったからあたしの分は買えなかった。

あたしは、お腹が空くのを我慢して、唇を噛み締め、席で静かにしていた。


「おい、清水。弁当はどうした?忘れたのか?」

「え…。」


声をかけてきたのは、あたしの隣の席の人。

———伏見くん。



「あ…うん。まあね…。」

「へぇ、珍しいな。清水はそういうとこしっかりしているように見えるのにな。」

「えへ……」




グウウウウウウウウウウ……




げっ!
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