深紅の復讐~イジメの悪夢~

根性



やってしまった…!

なんで、なんで今日だけお母さん、早く帰ってきてんの!?

これじゃあ、言い訳が難しいじゃん!

いつもみたいに遅く帰ってきて欲しかった…!!



あたしは一人で頭を抱えた。


「もう一度聞くわ。愛香、なぜこんな時間に帰ってきたの!?」

「う…え…えっと…」


ただいま、午後2時30分ジャスト。

普通、あたしはこんなに早く帰らない。

早くても5時とか…


「何だまってんの!?」


お母さんの目が三角になる。


「う…ごめんなさい…」

「謝らなくていいから。質問に答えなさい。」


どうしようどうしよう。

あたしは頭をフルスピードで回転させた。


「あ…あの…」
「何?」


よし、ちょっと苦しいけど、言い訳は思いついた。


「あの、急に、腹痛になっちゃって。保健室で休んでいたんだけど、早退することになって。」


よし、これでなんとか通そう。


「はぁ!?腹痛!?それは大変だわ!!すぐに病院に行かなきゃ!」


あちゃ〜!!
お母さんが馬鹿みたいに過保護だってことを忘れてた〜。


「だ、大丈夫だって!!今はそんなに辛くないし、ね?少し休んでいれば治るって!」


どうか、全身に冷や汗が流れていることに気が付かれませんように!!

あたしは両方の口角をできるだけ上げる。

目を細めて、眉を下げ、にっこりと笑う。


「そ、そうなの!?愛香、す、すごい顔をしているわよ。早く休みなさい。」


なぜかお母さんが急におどおどし始める。

…あたし、そんな変な顔した?

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