深紅の復讐~イジメの悪夢~

恐ろしく冷たい声で、麗華が言う。

激しく吐き戻していたのは、百合香だった。



「こんなことで吐くとかどういうつもり?そんなことしてたら……ね?分かるよね?」



麗華が静かに、力強く百合香に問いかける。



「う…うっく……ぐ…はい……」



涙を零しながら、百合香が頷く。

その体は、ひどく震えていた。


……どういうこと?

百合香は、何に怯えているの?


そんな、頭の回らなくなったあたしを救ったのは、またもやチャイムだった。


「やっば…!予鈴じゃん。次、化学だっけ?」

「うわ!第2理科室じゃん!!」


みんなは慌てたようにドタドタと帰ってしまった。

百合香もヨロヨロと走ってついていく。

あたしは、一人で沢山の嘔吐物に囲まれてへたりこんでいた。


授業、受けられない。

もう、本当に保健室に行こう。


あたしは、ゆっくりと立ち上がり、壁に手をついた。

足を引きずりながら歩く。

校舎に入って保健室に向かう。



「失礼します…。4年B組の清水愛香です。」
「はい、あら、どうしたの?」
「さっきから腹痛が…」


その後のやりとりは正直よく覚えていない。

あたしは、保健室のベッドの上でいつのまにか眠っていた。



< 99 / 332 >

この作品をシェア

pagetop