深紅の復讐~イジメの悪夢~
恐ろしく冷たい声で、麗華が言う。
激しく吐き戻していたのは、百合香だった。
「こんなことで吐くとかどういうつもり?そんなことしてたら……ね?分かるよね?」
麗華が静かに、力強く百合香に問いかける。
「う…うっく……ぐ…はい……」
涙を零しながら、百合香が頷く。
その体は、ひどく震えていた。
……どういうこと?
百合香は、何に怯えているの?
そんな、頭の回らなくなったあたしを救ったのは、またもやチャイムだった。
「やっば…!予鈴じゃん。次、化学だっけ?」
「うわ!第2理科室じゃん!!」
みんなは慌てたようにドタドタと帰ってしまった。
百合香もヨロヨロと走ってついていく。
あたしは、一人で沢山の嘔吐物に囲まれてへたりこんでいた。
授業、受けられない。
もう、本当に保健室に行こう。
あたしは、ゆっくりと立ち上がり、壁に手をついた。
足を引きずりながら歩く。
校舎に入って保健室に向かう。
「失礼します…。4年B組の清水愛香です。」
「はい、あら、どうしたの?」
「さっきから腹痛が…」
その後のやりとりは正直よく覚えていない。
あたしは、保健室のベッドの上でいつのまにか眠っていた。