不器用な彼〜君の気持ちを聞かせて〜
抱きしめる腕を緩められ、亮の顔をみる。

「頼むから……別れるなんて言うなよ」
泣きそうな顔。
あたしの言葉に傷ついたの?
あたし……
亮を傷つけちゃったんだ。

「ごめんね」


謝ると頬を触られ
「俺こそごめんな。華」

亮の手が心地いい。
やっぱり、あたし亮が好き。
「……好きだ」

目の前が真っ暗になる。
あっ……あたしキスされてるんだ。
触れるだけのキス。

それが嬉しくてあたしの目から涙が零れ落ちる。

「な……泣くなよ」
唇が離れると亮は驚いた顔をした。
「だ……って嬉しくて」

「あぁっ……しょうがねぇな」

腕を引っ張られ、あたしの体は亮の腕の中にすっぽりおさまる。

「泣き止むまで、こうしててやる」

そういって、片手であたしの頭をポンポンと撫でてくれる。

その優しさに余計に泣けてきた。

「頼むから泣き止んでくれよ」
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