極上パイロットはあふれる激情で新妻を愛し貫く~お前のすべてが愛おしい~
何度も切ろうとしたもののそれだけはやめてほしいと言われて、ずっと長いままで通してきた。

一度短くしてみたかったので、肩上の長さになってもさほどダメージはない。

ただ、自分で適当に切った髪は当然不ぞろいで、とても見られるものではなかった。

今日は大切な日だったのに。

美容院に整えに行こうにも、仕事はまだ続く。


「戻らないと」


そんなことを考えている暇はない。次の担当便の着陸がそろそろ迫っている。

私はそのひどい髪型のまま、倉庫に工具を取りに走った。



その日の仕事は無事に終了した。ざんばら髪はそのままだったけれど、ヘルメットでなんとかごまかした。

問題は仕事終了後。

久々にワンピースを引っ張り出して纏ってきたのに、この髪ではさすがに……。

私はロッカーから、とある包みを取り出してため息をついた。

今日は岸本さんの誕生日なのだ。

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