極上パイロットはあふれる激情で新妻を愛し貫く~お前のすべてが愛おしい~
しかも、十七時二十五分到着予定のホノルル便に搭乗していることも、あらかじめ調べてある。


もう少し待っていれば、フライト後に行なわれるミーティング――デブリーフィングを終えた彼がオフィスから出てくるに違いない。

それを待ってプレゼントを渡そうと思っていたのだ。

今日、告白しようと思っているわけではないのだけれど、私の存在に気づいてほしいという淡い期待でいっぱいだった。


「やめる?」


ロッカールームにある鏡に自分の姿を映して、問う。

夏の間、日焼け止めは欠かさず塗っていたものの、黒く焼けた肌。

簡単に化粧はしたが、メイクの指導もある美人ぞろいのキャビンアテンダントに囲まれている岸本さんの目を引く自信はまるでない。

おまけに、この髪型。

きっと笑われる。

ううん。彼が訓練を終えるのをずっと待っていたんだから、やめたら後悔する。


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