極上パイロットはあふれる激情で新妻を愛し貫く~お前のすべてが愛おしい~
そう思った私は、プレゼントを持って更衣室を飛び出した。


プレゼントの中身は、靴磨きセット。

ほかにもいろいろ考えたのだけど、私よりずっと給料のいい彼なら身につけているものは一流品だろうし、気に入らないものをもらっても困るはず。

それで大学時代の会話を思い出したのだ。

自動車部で一緒だった彼は、エンジンをピカピカに磨くのが好きで、財布や靴もいつも磨いておかないと気がすまないと笑っていたのだ。

今でもそうなのかはわからないけれど、パイロットも革靴を履く。あっても困らない、使ってしまえば残らない、という若干消極的な理由もあった。


ただ、このプレゼントを渡すことでさえ、私を覚えていない可能性を考えると腰が引けてしまう。

それでも勇気を出さなければ、きっと後悔する。


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