極上パイロットはあふれる激情で新妻を愛し貫く～お前のすべてが愛おしい～

「よろしくお願いします」


機長はにこやかに微笑んで、機外に出ていった。
岸本さんも軽く会釈をして続く。

気づかなかったか……。

新米用の黄色いヘルメットを深くかぶり、ガタイのいい池尻さんの背中に隠れ気味になっていた私に目もくれなかった。

いや、存在自体はもちろん気づいていたはずだけれど。

実は彼は、大学の先輩なのだ。
まさか、私が整備士をしているとは思ってもいないだろうから仕方がないか。

さすがに仕事中に馴れ馴れしく話しかけることもできず、彼のうしろ姿を見送った。


相変わらず素敵だったな。

久しぶりに見た岸本さんの姿に、口元が緩んでくる。

背の高い彼は狭いコックピットでは窮屈そうだなとか、少し色素の薄い瞳は太陽の光がまぶしくないのかなとか、勝手に想像し放題。


前髪が目にかかっていた大学の頃より髪は短く整えられているものの、それが彼の凛々しい顔を際立たせている。