極上パイロットはあふれる激情で新妻を愛し貫く~お前のすべてが愛おしい~
大学時代、眉目秀麗な彼が歩くと、自然と女性の輪ができると噂されるほど岸本さんは注目を浴びていた。

それなのに浮ついたところは微塵もなく、勉強もできて卒業式では総代を務めたというエリートだ。


「夏目、シートベルトの修理して」
「すぐに」


もうひとりの整備士、三つ年上の井上(いのうえ)さんに指摘されて慌てて動きだした。

岸本さんほど背は高くない彼だけど、作業着の袖をまくり上げると筋肉質な腕がのぞく。

力があるので、重い物も涼しい顔で運んでくれる頼もしい先輩だ。

軽快な会話で場を盛り上げるのもうまく、いつも笑わせてもらっている。


到着した機体の点検、整備を次のフライトまでの間に行うライン整備は、大型機でも基本的に二名の整備士で担当する。

私は研修中の身なので完全におまけ。
足手まといでないことを願っている。


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