高嶺の花も恋をする【番外編追加】
そう思っていたのに......。

莉緒の美貌が可能性の邪魔をする。

翌日の終業後、莉緒は先輩の伊藤さんに呼び出されてどこかに行った。

伊藤さんは広報部の一期上の先輩で、優しくて真面目だと噂に聞く人。

目立ってモテているわけではないけど、良いかもって言っている後輩の噂は聞いたことがある。

彼女の存在は耳にしたことはない。

そんな伊藤さんが莉緒を呼び出すってことは.....。

いつもなら人の色恋に首を突っ込むことはしないけど、今の莉緒は佐伯にフラれて莉緒らしさを失っている。

何となく心配であちこち探していると、会議室へ入っていく2人の後姿を見つけた。

ほんの少しだけドアを開けて声を聴く。

「......だったんだ」

「え...っと..」

莉緒の戸惑う声が聞こえた。

大体何を話しているかは分かると頷いた時、佐藤さんが重ねて言った。

「雨宮さんのこと、ずっと...好きだったんだ」

「あ...ありがとうございます.」

「いろんな人が雨宮さんに憧れているの知っているし、告白しているのも知ってる。誰の告白も受け入れていないのも知ってる。でも君が新入社員の頃から惹かれてずっと見ているだけでも幸せだったのに。その気持ちでいっぱいになって....見ているだけじゃなくて、振られてもいいから気持ちを伝えたいって思ったんだ」

「っ....」

「正直言えば君の見た目に一目惚れしたけど、仕事も頑張っていて、みんなにも優しくて、友達と楽しそうにしている所凄く羨ましいと思ったんだ。僕の事も見て欲しいって思った。少しずつ知ってもらえたらって思うけど、でも何よりも付き合って欲しいって伝えたかったんだ」

「....あの、ありがとうございます。私....その...」

何で?

いつもなら直ぐに断る莉緒が断らない。

そのことに衝撃を受けて中を覗けば、向かい合っている2人はお互いを見てる。

莉緒は困惑の表情をしているけど、言葉は断言してなくて、このままじゃ雰囲気に流されてOKしちゃうんじゃないかと焦ってしまう。
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