高嶺の花も恋をする【番外編追加】
それから数日経っても冴えなくて、ため息ついてるし、隙だらけ。
そんな莉緒も艶っぽくて、見惚れてる男がうろついている。
どうするのよ、この状態!
イラついていると、ふと佐伯が目についた。
あいつ!と思いながらその顔を見ると、その視線は莉緒に向けられている。
何、その切ない顔は。
ちょっと!佐伯、眺めるだけじゃなく勇気出しなさいよ。
佐伯の気持ちに気付いてしまったあの日から、むず痒いこの気持ち。
余計なお世話も莉緒の為。
莉緒に間違った選択をさせない為には、佐伯に行動を起こしてもらうしかない。
莉緒が帰り支度をしている姿を確認して、急いで佐伯の元に向かった。
「ねー、佐伯。ちょっといい?」
まだ残業していた佐伯を呼ぶとこっちへ歩いてきて、「何ですか?」と呑気に言ってくる。
お前.....と睨みたくなる気持ちを飲み込んで、笑顔で手招きして休憩室へと誘導した。
「忙しいところごめんね」
「いえ....大丈夫です」
「佐伯と少し話したくなってさ」
「僕と...ですか?」
「うん。ほら、莉緒がいろいろと佐伯に迷惑かけちゃったでしょ。莉緒は莉緒で落ち込んでいてさ」
「雨宮さんが?」
よし!
莉緒が落ち込んでいるって言葉に明らかに反応して食いついた。
賭けに出るしかない。
「そりゃー誰だって好きな人に振られたら傷ついて落ち込むでしょ?」
「.....」
「それが初恋となれば余計にね」
「......え?初恋?」
目を剥いて驚いた様子にそうだよねと思う。
誰だって驚くよね。
「そんな....まさか雨宮さんが...」
「そうよね、そう思うよね。みんなも佐伯も莉緒をどう見てるか知らないけどさ。まああの見た目だし、高嶺の花とか言われて恋愛も充実しているように思うかもしれないけど。あの子は真面目に恋してたの。初めての気持ちでいろいろ戸惑って、告白もあんなトンチンカンでさ。佐伯に嫌われたって大泣きして」
「えっ...」
「でもまあ~上手くいかなかったものはしょうがないよね....。佐伯だって好みってものがあるし。私はいつかあの子を真剣に想う人が出てくるって信じてるし、今だってかなり本気で莉緒に迫っている人いるしさ。前はバッサリと断っていたのに、莉緒も失恋してからは告白して来た人にはちゃんと向き合って応えないといけないって思っちゃったみたいで。私としては莉緒がまた誰かを好きになってくれら.....」
「ごめん!矢野さん!」
まだ人が話してる途中だってのに、佐伯は走って行く。
その後ろ姿に、「今、莉緒帰るとこだよ!」と最後のアシストをした。
振り返って笑った佐伯を見て、『よし!』とガッツポーズをとってしまう。
あんな焦った顔した佐伯なんて見たことないな。
やっぱ好きなんじゃん。
「全く、手がかかる二人なんだから」
呆れた声と、にやけた顔はミスマッチだけど、何よりも『これで良し』と独り締めた。
そんな莉緒も艶っぽくて、見惚れてる男がうろついている。
どうするのよ、この状態!
イラついていると、ふと佐伯が目についた。
あいつ!と思いながらその顔を見ると、その視線は莉緒に向けられている。
何、その切ない顔は。
ちょっと!佐伯、眺めるだけじゃなく勇気出しなさいよ。
佐伯の気持ちに気付いてしまったあの日から、むず痒いこの気持ち。
余計なお世話も莉緒の為。
莉緒に間違った選択をさせない為には、佐伯に行動を起こしてもらうしかない。
莉緒が帰り支度をしている姿を確認して、急いで佐伯の元に向かった。
「ねー、佐伯。ちょっといい?」
まだ残業していた佐伯を呼ぶとこっちへ歩いてきて、「何ですか?」と呑気に言ってくる。
お前.....と睨みたくなる気持ちを飲み込んで、笑顔で手招きして休憩室へと誘導した。
「忙しいところごめんね」
「いえ....大丈夫です」
「佐伯と少し話したくなってさ」
「僕と...ですか?」
「うん。ほら、莉緒がいろいろと佐伯に迷惑かけちゃったでしょ。莉緒は莉緒で落ち込んでいてさ」
「雨宮さんが?」
よし!
莉緒が落ち込んでいるって言葉に明らかに反応して食いついた。
賭けに出るしかない。
「そりゃー誰だって好きな人に振られたら傷ついて落ち込むでしょ?」
「.....」
「それが初恋となれば余計にね」
「......え?初恋?」
目を剥いて驚いた様子にそうだよねと思う。
誰だって驚くよね。
「そんな....まさか雨宮さんが...」
「そうよね、そう思うよね。みんなも佐伯も莉緒をどう見てるか知らないけどさ。まああの見た目だし、高嶺の花とか言われて恋愛も充実しているように思うかもしれないけど。あの子は真面目に恋してたの。初めての気持ちでいろいろ戸惑って、告白もあんなトンチンカンでさ。佐伯に嫌われたって大泣きして」
「えっ...」
「でもまあ~上手くいかなかったものはしょうがないよね....。佐伯だって好みってものがあるし。私はいつかあの子を真剣に想う人が出てくるって信じてるし、今だってかなり本気で莉緒に迫っている人いるしさ。前はバッサリと断っていたのに、莉緒も失恋してからは告白して来た人にはちゃんと向き合って応えないといけないって思っちゃったみたいで。私としては莉緒がまた誰かを好きになってくれら.....」
「ごめん!矢野さん!」
まだ人が話してる途中だってのに、佐伯は走って行く。
その後ろ姿に、「今、莉緒帰るとこだよ!」と最後のアシストをした。
振り返って笑った佐伯を見て、『よし!』とガッツポーズをとってしまう。
あんな焦った顔した佐伯なんて見たことないな。
やっぱ好きなんじゃん。
「全く、手がかかる二人なんだから」
呆れた声と、にやけた顔はミスマッチだけど、何よりも『これで良し』と独り締めた。