高嶺の花も恋をする【番外編追加】
え....だって.....。

「あの......好きは何の好きなのかな?ごめんね、よく分からなくて。私振られたし、佐伯くんに嫌われてしまったって思っていたから」

だって.....ずっと憧れていて....好きでした....って。

何だか思考が追いつかない。

私、迷惑だって言われたよね???

そんな私の考えている事が分かっているかのように、「雨宮さんを振るとか嫌うなんてそんなこと絶対にないんです。あの時は僕もパニックで酷いこと言っちゃったし、その後の態度も悪かったから、そんな風に思わせてしまいました。本当にすいませんでした」そう言って頭を下げて続けた。

「雨宮さん、説明させて下さい」

そう懇願するように言ってくる。

「さ...佐伯くん!頭を上げて。そんな謝ってもらう事なんて何もないから」

私が慌てて言うと頭を上げてくれてホッとした。

すると佐伯くんは視線を少し下げ、声のトーンを落として話し出した。

「本当は僕....入社前の研修で初めて会った時に雨宮さんに魅入りました。何て綺麗な人だろうって」

「.......」

「他の人達もかなり騒いでいて、それを聞く度自分の気持ちが図々しいような気がして。僕みたいな隠キャが雨宮さんを思うなんて。でも雨宮さんは他のみんなへと同じように僕とも接してくれて...」

「あたりまえじゃない、そんなの。それに私、佐伯くんのこと、隠キャなんて思った事ないよ」

「そうですか.....ありがとうございます.。確かに雨宮さんは本当に優しく接してくれました。だから憧れる気持ちは、どうにも消せなくて.....」

何だか沢山褒めてくれるのが照れ臭くて頬が熱くなる。

憧れてくれるっていい意味で取っていいのかな。

じゃあさっきの佐伯くんの『好き』って。

「佐伯くん.....」

「はい」

「佐伯くんが言ってくれた好きって...」

お願い......佐伯くん。

「はい」

「佐伯くんの言ってくれた好きは.....」

「雨宮さんが言ってくれた好きと同じ意味です」

佐伯くんがハッキリ言ってくれた。

真っ直ぐ私を見て。

「私と同じ.....好き?」

私と同じ意味の『好き』。

佐伯くんが私を異性として『好き』でいてくれている?

恋してる『好き』

そう思っていいの?

佐伯くんに確かめたくなって、彼の表情を探るように見つめる。

すると少し笑みを見せて、すごく優しい声で返してくれた。
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