身代わり婚のはずが冷徹御曹司は一途愛を注ぎ貫く
第二話 秘密の出会い
二ヶ月前。
柊和コーポレーションから簡単な封書が届いた。父がそれを開くと【ご招待】と書かれており、柊和コーポレーション百周年記念パーティーへの招待状が入っていた。
社長である父と役員の肩書がある花純に対して届いている。一度取引があったのは聞いているが、パーティーへの招待状が届くなんてまだ付き合いが続いていたのだろうか。
「花純、この日は空けておくんだよ。九月一日、日曜日にパーティーに出席してもらうから」
花純の自室でふたりで話していたところへ、父が招待状持ってやってきた。私たちは顔を青くする。
「九月一日……?」
「うん。休みだろう?」
「私、その日はちょっと予定があるんだけど……」
「え、そうなのかい? 会社同士の立場もあるし、なるべく断りたくないんだが……。しかたがない。どうしても外せない用事なら、代わりに光汰くんを連れていくけれど」
「光汰さんもダメ!」
花純は瞳に涙を溜めて首を振った。
「なぜだい? どちらかは出席してくれないと困るよ。付き添いの出席者を役員の中で押し付け合っていると思われる。シーナ製紙の長女である花純か、副社長である光汰くん、それ以外の人選はそういう印象になってしまうだろう」
「だって……その日は、光汰さんと誕生日旅行に行く約束をしているんだもの」