身代わり婚のはずが冷徹御曹司は一途愛を注ぎ貫く
◆◆◆

それは突然の知らせだった。

私、椎名香波は、姉の花純とともに自宅のテラスでハーブティーを飲んでいた。都内なのに中庭のある椎名家の邸宅は、暖かい光が差し込み、鳥の声が聞こえてくる。ここだけおとぎ話のような別世界だ。

私と花純は一卵性の双子で、現在二十六歳。顔も体格もそっくりの姉妹である。
濃いブラウンのふわふわの髪、真っ白のセーターにフレアスカート、細い指先で華奢な金のティースプーンをくるくると回す花純はまるでここに住む妖精のようだ。私は彼女と同じ色の髪をストレートに揃え、ジャケットにタイトスカートなどかっちりした服装を好んで着ており、同じ体の造りをしているのに趣味はまったく異なる。

さらに性格はそれ以上に違っていて、天然でおっとりとしていて周囲を和ませる花純に比べ、妹の私は男勝りではっきりものを言いがちな部分がある。
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