身代わり婚のはずが冷徹御曹司は一途愛を注ぎ貫く
第四話 冷たい旦那様




その晩は家族には疲れたから眠ると言って休み、翌朝、父に正直に話した。
もちろん貴仁さんと体を重ねたことなどリアルな話は隠したままだが、私が花純と偽って貴仁さんを怒らせたこと、花純との婚約は諦めてもらえたがおそらく資金提供は絶望的だという事実を告げた。

「大丈夫だよ、香波。後日謝罪に行っておくから、あまり気に病まなくていい」

頭を撫でられ、シーナ製紙を救えなかった自分が不甲斐なくて泣きそうになった。
花純には「昨日はお食事して話しただけ」と説明し、なにも話していない。プロポーズをされたばかりで幸せの絶頂なのだから、余計なことは考ずにいさせてあげたい。

「上手くいかなくてごめんなさい……シーナ製紙に恨みを持たれないといいんだけど」

「そうしたらビジネスとしてのやりとりに戻るだけだ。娘との結婚が条件など、初めからあちらもおかしかった」

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