身代わり婚のはずが冷徹御曹司は一途愛を注ぎ貫く

「なにって、だからさっきお父さんには話した通りで……」

「今、柊和コーポレーションの社長から電話があった。シーナ製紙の買収は正式に取り止め、資金提供に決まったと」

父の言葉に私は「え!?」と声を上げる。
どうして? だってなにひとつ条件をクリアできなかったうえ、貴仁さんを怒らせてしまったはずなのに……。

「あとこれは後日正式に申し入れをするそうだが……専務が、花純への求婚は撤回し、香波に結婚を申し込みたいと」

「……へ?」

「なんでも昨日話してみて意気投合し、これまで見間違えていたが好意を寄せていた相手は花純ではなく、香波だった、とおっしゃっている」

これには父も首を傾げて私を見た。そりゃそうだ、私のした話と全然違うもの。私の記憶とも違っている。意気投合? 好意を寄せていた……? 唐突な嘘ばかりでビックリするのだが。

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