身代わり婚のはずが冷徹御曹司は一途愛を注ぎ貫く

体の相性がどうのと言っていたが、その夜は同じベッドで眠ってもなにもなかった。花純を見習ってベビーピンクのネグリジェを着ている自分が恥ずかしくなる。花純はこういう服を自然に着こなすが、私は着ているだけでそわそわした。だってまるで期待していると思われてしまいそうで。

翌朝、昨日の空き時間でひとりで買ってきた食材で朝食を作ってみた。貴仁さんが起きる時間がわからず、聞いてもまた冷たいことを言われる気がしてとりあえず早朝五時に起きて作ってみた。案の定、彼は五時半には起きてリビングへとやって来る。

トーストとハムエッグ、サラダとコーヒーを準備して待っていた私を見て、彼はしばし沈黙した。

「今日はそれを食っていくが、俺は基本的に食事は外で済ませるから必要ない。自分の食事を作る分には好きにしろ」

「は、はい……」

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