身代わり婚のはずが冷徹御曹司は一途愛を注ぎ貫く
彼が上がってきたらしく、ベッドが揺れた。おそらく私の顔は真っ赤になっているため見せられない。背を向けたまま口もとまで掛け布団にもぐり、腕や脚を、胸へ向かってギュッと集めて縮まった。
「えっと、あの……」
背後に彼を感じる。皮膚がじりっと焼け付くようだ。
すると、私が握りしめて胸の中に隠している両手に、大きな手が重なってきた。驚いて目を開けると、彼の男らしい手が見える。その手は私の両手を解き、お腹からパジャマの中に侵入した。
「あっ、やぁ、待って……!」
すぐにもう一方の手も入り込み、胸の膨らみを揉みしだいた。まさぐる手にゾクゾクし、意図せず甘い声が漏れる。
「ん……あ、あぁ……」
「感度がいいな」
また耳もとで褒められた。経験がないためわからないが、彼が言っていた相性のよさというのは感じている。そういえば苦痛がまったくないが、彼はたしか『手加減はしない』とも言っていた気がするのに。
「貴仁さん、私てっきり、手ひどくされるのかと……」
「お望みならばそうするが?」
彼は手を、微かに力強くショーツの中に潜り込ませてきた。
「ん、あ、ああっ……」
堅くなっていた体が解きほぐされ、無防備に開いていくのがわかる。耐えられずに向きを変えて貴仁さんにしがみつくと、彼は微かに吐息を漏らし、するりとズボンとショーツを脱がせて体を繋げた。香波として抱かれたはずなのに、甘く激しい夜だった。