身代わり婚のはずが冷徹御曹司は一途愛を注ぎ貫く

「柊専務？」

ずっと求めていたあの女性と、俺は結婚し、同居をし、肌を重ねていた。二度と手に入らないと思っていたのに、すでに妻になっていたのだ。

「柊専務……香波さんとなにかあったんですか？」

俺の様子に三橋と花純は困惑して顔を見合せるが、この場でも隠せそうにない。抑え込んでいた香波への想いが胸に広がっていく。これまで好きだと思えば思うほど、真逆の態度をとらなければならなかった。突き放し傷つけてきたが、会社と姉のために自分を偽り、俺に気に入られようと花純のように振る舞っていたのかと思うと、今すぐ会って抱きしめて、好きだと言ってしまいたくなった。

「副社長、話してくださり助かりました。あとは香波と話します」

香波は俺をどう思っているのだろう。今からでも、俺と本当の夫婦になってくれるだろうか。