身代わり婚のはずが冷徹御曹司は一途愛を注ぎ貫く
「貴仁さん!?」
「悪い、起こしたか」
まだセットされていない黒髪にドキリとする。
同居を始めてからずっと同じベッドで眠っていたはずだが、背を向けていたことがほとんどだった。彼に覗き込まれながら目覚めるなんて初めて。
「なんで見てるんですかっ」
慌てて鼻まで布団を引き上げて隠す。彼は少しムッと不貞腐れた顔をした。
「手は出していない。見てただけだ」
「見るのもダメですよ! 恥ずかしいじゃないですか」
「見るのも……?」
顔は少しムッとした顔をしながら体を起こした。私もそれに習いそろそろ起きようかと思い上半身をおこすと、彼は今度は私の胸もとをじっと見ている。紺のパジャマのボタンが上からみっつ外れており、胸の谷間が覗いていた。
「……し、失礼しました」
心の中では取り乱していたが、これは自分のせいだと思いサッと隠して整える。