身代わり婚のはずが冷徹御曹司は一途愛を注ぎ貫く

「だって、なんだか信じられなくて。エレベーターで会ったときからって言ってましたけど……私に好きになる要素ないですよね。外見で一目惚れしたなら、それこそ花純がよかったんじゃないかなと」

素直な疑問だった。私はおそらく、いつかやっぱり花純がいいと思われてしまう気がして怖いのかもしれない。

「……そんなことを言われても、あのときのお前の目にも、声にも、感触にも惹かれた。その後に知った赤い顔も、泣き顔も、怒った顔ですら好きだ」

「お、怒ったことはないです」

「嘘をつけ、たまに顔に出ている。だがそういうところもいい」

愛の言葉に当てられた私は再び黙り込み、恥ずかしさに耐える。そうだった。彼は一貫して、一途で情熱的な人なのだ。ここまでベタ褒めされては、もう私の負けだから抱いてくれと言いたくなる。

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