身代わり婚のはずが冷徹御曹司は一途愛を注ぎ貫く

◆◆◆

「ええー、すごい! ドラマみたい!」

花純は頬に手を当て、うれしそうに微笑んだ。行きつけのアフタヌーンティーで、食べ慣れたスコーンとフルーツティーをいただきながら近況報告をする。貴仁さんとエレベーターで乗り合わせ、それがきっかけで花純に婚約を持ちかけていたことも話した。
花純もモヤモヤしていたものが晴れたようで、今はホッとした様子で私の話を聞いている。

「あんなにストレートに好きって言われたことないから、どう答えたらいいかわからないよ」

「ええ? 自分の気持ちを伝えればいいよぉ。私も大好きですーって!」

「……花純はそうできるだろうけどさ」

花純のような愛情表現豊かな妻で、三橋さんも幸せだろうなと感じる。引き替え私が妻で貴仁さんには申し訳ない。それこそ花純の真似をして甘えてみたいけど彼は見抜いてしまうし、自然体の私はこうなのだ。

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