身代わり婚のはずが冷徹御曹司は一途愛を注ぎ貫く
「やっぱり違うって言われそうで躊躇しちゃうの。貴仁さんのことを信じたいけど、彼と出会ったのは本当にただの偶然だったし。エレベーターが停まって、つり橋効果で好きになってもらえただけで……」
「んもう、香波ちゃんてばわかってない。香波ちゃんのこと好きな人たくさんいるよ。私に話しかけてくる人の中にも、本当は香波ちゃん目当てなんだろうなって思う人たくさんいたもん」
「だからそれは私をだしにして花純と繋がろうとしてるだけなんだって! いつも言ってるでしょ、花純。そういう人には気をつけなきゃダメって」
あいかわらず、花純はニブい。私がムキになると向こうもプウッと頬を膨らませ、その顔が愛らしくて思わず和んだ。
久しぶりに花純とお茶をできて楽しかったが、ホテルの外へ出るとすぐに気を引き締める。今日も可憐な花柄のワンピースに白のカーディガンを羽織った花純は目立ち、周囲の視線を集めている。
「それじゃあ、早めに解散にしようか」
「もう少し香波ちゃんの話聞きたかったなぁ」
「またいつでも会えるでしょ」