reborn
「課題のやつでしょ。いいよ、私こういう服とかは詳しくないしさ。むしろ助かる」
「私も〜! みんなのオススメとか知りたいし!」
「はい……私もこういうの疎いですし、なによりみなさんとやった方が楽しいので……!」
星出さん、鮎川さんは快諾。めーさんは……突然誘ってしまった上に、ボーナスステージとはいえ一応ライバルなわけなので、遠慮したいのかもしれません。でも、わがままかもしれませんが私はめーさんと一緒にやりたいです!
「……ので、お誘いしちゃったんですけど、その」
「初がいるなら、やってやってもいい」
「わーんめーさん!!!」
嬉しくて思わずめーさんに抱きつきかけてしまいました。めーさんとは何度か戦ってきましたが、一緒に何かをすることができるなんて!
「じゃ〜あ〜! めーちゃんはこれとこれとこれ! 着てみよ!!」
「ちょ、全部やるとは言っていない!」
「牛若さん、可愛いからなんでも似合うなあ」
鮎川さんと羽生ちゃんに服やら靴やらを渡され、めーさんの小さい体はそれに埋もれてたまま試着室に入れられ……入りました。めーさんが着替えている間も、服選びは続行です。早い者勝ちではないけれど制限時間はあるので、あんまりゆっくりはできないのです、残念ながら。
「あっねえねえ髪もアレンジするよね? 初ちゃんは普段ストレートだし、巻いてこういうアレンジするのとかどお?」
「カッコいい系で攻めるのアリかも……!」
「えっあっど、どうしましょう!?!?」
鮎川さんのスマホで髪のアレンジサイトを囲んで見ます。中にはどうやってそうなるのかがまっったくわからないのがあり、鮎川さんと羽生ちゃんの全く違った意見もあり、頭がぐるぐるしてきました……。
「鮫上の格好と合わせるのがいいんじゃない? 普段……と逆の格好ってどんなんなの?」
星出さんからの助け舟です。助かりました。ええっと、普段の紺くんの格好は、えーっと、えーと……。
「えっ!? 紺くんは……う、うーん……カッコいいです!」
「アバウトすぎないか?」
「はうっ!?」
ツッコミと共に試着室から出てきためーさんは、とってもとっても可愛くて。レースの襟に大きなリボン、ハイウエストのミニスカート。ピンクと黒を基調としたこれは確か……量産型? の服を身につけためーさんはまるでお人形さんみたいです。
「あ! めーさん!! とっても可愛いです!!」
「てかそれはアバウトっていうか、ノロケ?」
星出さんのツッコミに思わず顔が赤くなってしまいます。確かにこれは惚気に聞こえるのも無理がないかもしれない発言で……。
「あう、す、すみませんっ男の人の格好ってあんまり詳しくなくて! あと紺くんの普段の服装は……だいぶ適当です」
紺くんの私服は、顔が良いのとシンプルな服ばかりなので服同士が喧嘩しないだけの、本当に……その……適当です。なのでこれと言った方向性がありません。うーん、困りました……。
「ペアの格好は終わるまでわかんないんだもんね〜! あーカジカジの服、楽しみだなあ」
「わ、私も……」
「ですね!」
そうなのです、お互いに服を選んで着替え終わるまで相手がどんな格好をしているかは全くわかりません。女子と男子でフロアが分けられているのですれ違うこともないありません。思えば、今回ここに着いてからペアが分けられて集まったのは、課題が発表されてから相談など出来ないようにする為だったのかもしれないと今、合点がいきました。
ところで、普段の紺くんを思い出した結果、紺くんがオシャレに興味があるとは微塵も思えないのですが大丈夫でしょうか……。いやっ私も人のことを言えた義理ではないのですが! でも何事も卒なくこなす紺くんです。多分無難にまとめてくるはず。思いきった格好をするとは思えません。それも見てみたさは若干ありますが。
「……あ、じゃあ」
「? どうしたの?」
「あ、あの! 私、こういう格好がいいです!」