グリフォンの恋人・序章・エピソード0
「なぜ、そんな質問をするのですか・・・?」
オーギュストは目をほそめて、
不思議そうに聞いた。

ミルラは、その顔にすぐに反応した。

「ああ、そのお顔、素敵です!
肖像画はその人となりを出さないと、魅力的ではないので。

私は、良い絵を描くために、
神官様の事を知りたいのです」

ミルラはグイグイ迫って、
オーギュストの顔の前に、
指でつくった四角を差し出した。

「そんなに・・見つめないでください・・」
オーギュストは少し赤くなり、
うつむいた。

「見ないと、絵は描けません。
観察することが基本ですから」

ミルラは腕組みをして、
ややうつむき加減のオーギュストの周りを、一周まわった。

「それでは、お好きな食べ物は?」

ミルラは、よい止まり木をみつけた小鳥がさえずるように、リズミカルに木炭を動かしていく。

黙り込んでしまったオーギュストに、気が付くと、
いたずらっぽく口を開いた。

「私は、ジンジャービスケットが好きです!
さて、神官様は何がお好きですか?」

まるで、しりとり遊びをしているようだ。
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