グリフォンの恋人・序章・エピソード0
ミルラは横目で時計を見て、
エプロンで手を拭きながら、玄関に走った。

新しい画材の配達に来たのだろう。
ミルラは急いで、扉を開けた。

「あらっ」
目の前に、帽子をかぶった
背の高い紳士が立っていた。

「神官様・・?」

「少し早いのですが・・これを」
紳士は、黄色のガーベラの花束を
ミルラの前に差し出した。

「あと、これも・・」
小さな紙包みも差し出した。

「ジンジャービスケット、
あなたへのささげ物です・・」
ささげ物・・・とは?

ミルラは受け取りながら、小首をかしげた。

オーギュストの瞳は、心配げに細められた。

「あの、神官様、すごく、かわいらしいお花、ありがとうございます・・」

ミルラは少し頬を赤らめて、
受け取った。

「神官様・・その、いつもと違うので・・
ちょっと、びっくりしちゃって」

オーギュストは、かぶっていた
帽子を手に取った。

「私用の時は、こうしているのですが・・おかしいですか?」
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