グリフォンの恋人・序章・エピソード0

キューピッドの矢

あれっ・・女友達を誘う感じで
気軽に言ってしまったが・・・・

神官様をデートに誘うって、
話になるのか・・・

ミルラは「失礼な事を言ってしまった」と、急に不安になった。

すると、オーギュストが、
いきなり片手を差し出した。

お別れの握手・・?

ミルラも、その手の上に、自分の手を差し出した。

オーギュストはそのまま、
自分の唇にミルラの指先をつけた。

「あなたは私の女神・・」

それから、手首にキスをした。

ミルラはドギマギして赤くなって、手を引こうとしたが・・・

逆に、オーギュストに引き寄せられてしまった。

「あなたとこうして出会えたことは、運命であり、抗(あらが)えないと思えるのです」

オーギュストはミルラを抱きしめ、その耳元でささやいた。

ミルラは、小さくうなずいた。

何か声を出したら、
この魔法が解けてしまうような気持ちがしたからだ。

オーギュストの腕の中は、
神殿で焚きしめる香の香りが、
かすかにする。

その後の口づけは、自然の摂理だった。
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