グリフォンの恋人・序章・エピソード0
「神官様、大丈夫ですか?」
向こうから事務官が、走ってくるのが見えたので、

現実に戻ったオーギュストは、
仕方なくミルラの腕を離した。

ミルラは息をはずませて、
走って来た来た事務官を見ると、
その場に床に座り込んで、頭を下げた。

ほとんど、土下座状態である。

「私が父の代理で来ました、
画家のミルラでございます。
申し訳ございません。
遅刻をしてしまって・・・・
父と連絡がうまくいかなくて・・」

頭を床に下げたまま、ミルラは
早口で言った。

「謝罪はもういいです。
頭を上げてください」

オーギュストは立ち上がり、
神官の正装についたほこりを手で軽く払い、事務官に言った。

「お茶の用意をしてください。
それと、彼女には冷たい水を」

「わかりました。神官様、
すぐにおもちいたします。」
事務官は、素早く姿を消した。

オーギュストは、座り込んでいるミルラを見て

「ミルラ、すぐに私の執務室に来てください。
今日はもう、時間があまりないので」

「へ・・・?」
< 8 / 22 >

この作品をシェア

pagetop