俺だけのお姫様
だから、手術も頑張れた。
紗世ちゃんのドレスも楽しみだったけど、
何よりも、本当は外で遊ぶのが大好きな慎太郎が、毎日毎日、花を持ってお見舞いにきて、
「今日もみよはかわいいな」
「がんばれ、みよ、がんばれ」
「ここ?ここが痛い?」
治療で髪が抜けて落ち込んでいる私をかわいいといい、吐き気と痛みに苦しむ背中を擦って傍にいてくれた。
「しんたろー、大好き」
「うん、俺も大好き!」
幼なじみなんかじゃなくて、
私の王子さまになっていった。
手術は成功して、紗世ちゃんの結婚式に出ることが出来た。
ウェディングドレスを着た紗世ちゃんは
今までみたどんな女性よりも綺麗で
「このブーケ、キャッチした人が次に結婚出来るの」
私に届くように投げてくれたのは分かったけど、綺麗にキャッチ出来たのが嬉しくて
ふいに、思い出した
『プロポーズするなら花束持って、相手の目を見て伝えないとな』
いつか公園で初人くんが慎太郎に話していたこと。
私も、紗世ちゃんみたいに伝えたい。
自分の気持ち。
一緒に伝えあった「けっこんしてください」
泣きながら抱き締めてくる慎太郎のことが
大好きだと実感した