俺だけのお姫様



「美夜、おはよう」
「…おはよ」
「置いてくなんてひどいなー、うちのお姫様は」
「慎太郎…」

「美夜、あのさ…」

「笹山先輩!おはようございます!」

美夜に謝ろうとした瞬間後ろから抱きつかれた

「お、お前」
「1-3の伊藤美琴(みこと)ですっ」

「真山先輩、ですよね?」
「うん」
「私に笹山先輩譲ってください♪」
「なに言って…」
「…考えとくね」

「は…?」

「あ、ありがとうございます!」

「おい、美夜」

「朝、移動教室だからもう行くね」


入学してからこんなこと一度もなくて
周りがざわついてる

「笹山、浮気して愛想つかされたのか?」
「慎太郎、俺はお前のこと信じてたのに」
「美夜ちゃんがあんな顔してるの初めて見た」

「浮気なんかしてねーし、こいつが勝手に」
「ふふ、また来ますね、笹山先輩」


人生で初めてだった。
美夜のあんな冷たい表情をみたのは。



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