俺だけのお姫様
「ねえ、美夜、ごめん。美夜の方が辛いのに俺、ショックで…何も言えなくてごめん」
「いいの。慎太郎が悪くないのは分かってたのに、うまく…向き合えなくてごめんね」
「美夜…」
「また、手術しなくちゃいけなくて…」
「うん」
「また、きっと髪が抜けちゃう…」
「うん」
「また苦しくて痛くて辛い日が来るんだって…慎太郎と会えなくなるんだって…」
「うん」
「そう思ったら…私、怖くて…」
「うん」
「慎太郎…私、また頑張りたい」
「うん」
「傍にいてくれる…?」
「当たり前だろ…」
久しぶりにみた美夜の泣き顔は
今までみたどんな泣き顔より綺麗で、
だけど不安で仕方なくて
何も言葉が出てこなくて、
とにかく抱き締めた