俺だけのお姫様
「…まあ、美夜ちゃんには毎日会いに来てくれる王子様がいるし、院内でも…」
「毎年、一緒に水族館に行ってるんです」
「いいね!」
「一緒に水族館でイルカショーみて、ペンギンみて、カワウソみて…」
「うんうん」
「最後にクラゲの前で花束もらうの」
「花束?」
「アングレカムの花束。ずっと一緒って花言葉なんだって」
「さすが王子様」
「それ、8歳の誕生日からずっと」
「愛されてるね…」
「本当に、ずっと一緒にいられるかな…」
「美夜ちゃん…」
「分かってるの。髪が抜けちゃっても、治療で苦しくていっぱい弱音吐いても、慎太郎は傍にいてくれるって」
「でも、慎太郎が優しくしてくれると、もっともっと一緒に居たくなるし、お洒落して、可愛い服着て、慎太郎とデートしたい」
「私が病室にいる間、みんなと楽しく過ごす慎太郎が羨ましい…」
「だから時々、慎太郎といると苦しい」
「美夜ちゃん…」
古賀さんは背中をゆっくり擦ってくれた
慎太郎とは別の優しさを
背中でゆっくりゆっくり感じた