俺だけのお姫様
「譲くん…知ってる?毎日慎太郎が私の手を握って背中をゆっくり擦ってくれるの」
「うん…」
「時々ね、手が震えてるの、慎太郎」
「心配になるとすぐぎゅって抱きついてくるの」
「それで、大好きだよって言ってくれるの」
「抗がん剤は辛いし、苦しいけど、慎太郎が一緒に居てくれると頑張れる」
「美夜ちゃん…」
「それ、7歳の頃から変わらないんだよ?
私が逆の立場だったら毎日毎日病院に来て、そんなことしてあげられるか分からない」
「小さい頃から、私のこと大事にしてくれて、まっすぐ気持ちを伝えてくれて、辛いときは何も言わずに傍にいてくれる…。
譲くんも、治療頑張ってるし、苦しい気持ちを分かってくれると思うけど、それだけじゃ、私の王子様にはなれないの」
「慎太郎じゃないと、ダメなの」