俺だけのお姫様
「ちょっと寒いね」
「そうだな、美夜、体平気?」
「うん、大丈夫」
二人で向かい合う
あの結婚式の日と同じ位置
背が伸びた二人
あの日と同じブーケ
大きく息を吸う
「美夜、10年経ってもどんどん好きになってく。一緒にいるだけで幸せで…」
目の前が滲んでいく
「美夜、俺、美夜が好きだよ。大好き。美夜…」
こんなはずじゃなかった。
もっとかっこよく、伝えるはずだった。
「慎太郎、今日も泣いちゃうの…?」
涙を拭う俺を美夜が抱き締める。
「美夜…」
「こーんな可愛いお姫様をお嫁さんに出来るのは、慎太郎だけだよ?」