銀色ネコの憂鬱
第4話 忘れ物
会社を出て30分後
菫は蓮司のアトリエで呆然としていた。
「忘れ物って…」
「だからこれ。忘れ物。」
そう言って蓮司が差し出したのは、炭酸水のペットボトルだった。
「言ったじゃん、飲み終わらなかったら持って帰ってって。」
「開けてないんだから、冷蔵庫に戻したら良いんじゃないですか!?」
———はぁ…
菫は脱力して溜息を吐いた。その様子を蓮司はどこか嬉しそうに見ていた。
「やっぱ無防備だよね。忘れ物が何か確認しないで、また俺と二人きりになっちゃって。」
揶揄うように言った蓮司に菫はムッとする。
「今日はドア開けてますから…。」
「虫とか入って来そう。」
「…私が帰ったら閉めてください。もう帰りますので。」
(この人とはまともに話せないから契約も無理…社長に謝ろう…)
菫は鞄に炭酸水を入れて帰る素振りをした。
「あれ?帰っちゃうの?」
「炭酸水、受け取りましたから。」
菫は後ろを向いたまま静かなトーンで言った。
「あれ?いいの?もっと大事な物忘れてると思うけど。」
「なんですか?お菓子でも出していただきましたっけ?」
そう言って菫は不機嫌そうに振り返った。
菫は蓮司のアトリエで呆然としていた。
「忘れ物って…」
「だからこれ。忘れ物。」
そう言って蓮司が差し出したのは、炭酸水のペットボトルだった。
「言ったじゃん、飲み終わらなかったら持って帰ってって。」
「開けてないんだから、冷蔵庫に戻したら良いんじゃないですか!?」
———はぁ…
菫は脱力して溜息を吐いた。その様子を蓮司はどこか嬉しそうに見ていた。
「やっぱ無防備だよね。忘れ物が何か確認しないで、また俺と二人きりになっちゃって。」
揶揄うように言った蓮司に菫はムッとする。
「今日はドア開けてますから…。」
「虫とか入って来そう。」
「…私が帰ったら閉めてください。もう帰りますので。」
(この人とはまともに話せないから契約も無理…社長に謝ろう…)
菫は鞄に炭酸水を入れて帰る素振りをした。
「あれ?帰っちゃうの?」
「炭酸水、受け取りましたから。」
菫は後ろを向いたまま静かなトーンで言った。
「あれ?いいの?もっと大事な物忘れてると思うけど。」
「なんですか?お菓子でも出していただきましたっけ?」
そう言って菫は不機嫌そうに振り返った。