銀色ネコの憂鬱
印鑑を持って来た蓮司が契約書に署名と捺印をした。
「…にしてもさぁ、よく俺がここのあんぱん好きだって知ってたね。袋見た瞬間すげーびびった。しかも栗入りのつぶあん。」
蓮司が手土産の袋を開けて言った。
(え…そうなの?)
「私の妻が一澤さんの作品が好きで、以前に雑誌に書いてあったと教えてくれました。」
明石が言った。
「あー…なんかインタビューで聞かれたことあったかも。」
「…さすが香魚さん!」
菫が感嘆の溜息を吐いて言った。
「アユさん?」
蓮司が聞いた。
「社長の奥さんは私が世界一尊敬してるデザイナーさんなんです。」
なぜか菫が得意げに言う。
「大袈裟…」
明石は苦笑いした。
「世界一?」
蓮司の眉が一瞬ピク…っと小さく動いた。
菫は営業用に持ち歩いている商品カタログのファイルを取り出した。
「香魚さんがデザインしたこのお花のシリーズ、プチフルールって言うんですけど、これがとくに好きなんですよね〜!色がすーっごくきれいで、花柄なのに背景にストーリーがありそうっていうか…スミレの柄もあって…」
菫の声色がワントーン明るくなり、急に饒舌になる。
「…にしてもさぁ、よく俺がここのあんぱん好きだって知ってたね。袋見た瞬間すげーびびった。しかも栗入りのつぶあん。」
蓮司が手土産の袋を開けて言った。
(え…そうなの?)
「私の妻が一澤さんの作品が好きで、以前に雑誌に書いてあったと教えてくれました。」
明石が言った。
「あー…なんかインタビューで聞かれたことあったかも。」
「…さすが香魚さん!」
菫が感嘆の溜息を吐いて言った。
「アユさん?」
蓮司が聞いた。
「社長の奥さんは私が世界一尊敬してるデザイナーさんなんです。」
なぜか菫が得意げに言う。
「大袈裟…」
明石は苦笑いした。
「世界一?」
蓮司の眉が一瞬ピク…っと小さく動いた。
菫は営業用に持ち歩いている商品カタログのファイルを取り出した。
「香魚さんがデザインしたこのお花のシリーズ、プチフルールって言うんですけど、これがとくに好きなんですよね〜!色がすーっごくきれいで、花柄なのに背景にストーリーがありそうっていうか…スミレの柄もあって…」
菫の声色がワントーン明るくなり、急に饒舌になる。