銀色ネコの憂鬱
株式会社ミモザカンパニーは文房具と雑貨を取り扱う小さなメーカーで、どちらかというと女性向けのレターセットやマスキングテープ、ペンケースなどを企画・販売している。設立されてまだ5年、従業員は9名の新しい会社だ。
ミモザカンパニーで扱う商品のデザインは大まかに2種類に分かれる。相間のような自社所属デザイナーがイラスト作成から行うものと外部のイラストレーターやデザイナーの作品を使用したものだ。
外部の人間はむこうから作品応募がある場合もあれば、こちらから声をかけることもある。今回は後者だ。
菫は明石が資料として持参した雑誌を捲った。
一澤 蓮司・26歳・イラストレーターでグラフィックデザイナー。
POPな色づかいで花やフルーツを大胆にレイアウトした作品で若い女性を中心に徐々にファン層を拡げている。
1週間後
昼下がりのカフェで、菫は少し緊張しながら待ち人が来るのを待っていた。
相手には菫の服装を目印にするように伝えていた。
クルーネックのシャツにグレーのパンツ、ゆるくパーマのかかった髪は一つに結んでいる。
(一澤 蓮司かぁ。どんな人なんだろう?)
「あの…」
知らない男が菫に声をかけた。
「はい。あ、もしかして…」
「え?」
「今日約束してる…」
「ああ、そうそう。座ってもいい?」
男は一瞬戸惑ったような仕草を見せたが、席に座った。
「もちろん。」
(想像よりも普通の人っぽいな。)
「お姉さんめちゃくちゃ美人だね。今ヒマなの?」
「え…?あの…」
なんとなく会話がおかしい気がする。
「そこ俺の席なんだけど。どいてくんない?」
ミモザカンパニーで扱う商品のデザインは大まかに2種類に分かれる。相間のような自社所属デザイナーがイラスト作成から行うものと外部のイラストレーターやデザイナーの作品を使用したものだ。
外部の人間はむこうから作品応募がある場合もあれば、こちらから声をかけることもある。今回は後者だ。
菫は明石が資料として持参した雑誌を捲った。
一澤 蓮司・26歳・イラストレーターでグラフィックデザイナー。
POPな色づかいで花やフルーツを大胆にレイアウトした作品で若い女性を中心に徐々にファン層を拡げている。
1週間後
昼下がりのカフェで、菫は少し緊張しながら待ち人が来るのを待っていた。
相手には菫の服装を目印にするように伝えていた。
クルーネックのシャツにグレーのパンツ、ゆるくパーマのかかった髪は一つに結んでいる。
(一澤 蓮司かぁ。どんな人なんだろう?)
「あの…」
知らない男が菫に声をかけた。
「はい。あ、もしかして…」
「え?」
「今日約束してる…」
「ああ、そうそう。座ってもいい?」
男は一瞬戸惑ったような仕草を見せたが、席に座った。
「もちろん。」
(想像よりも普通の人っぽいな。)
「お姉さんめちゃくちゃ美人だね。今ヒマなの?」
「え…?あの…」
なんとなく会話がおかしい気がする。
「そこ俺の席なんだけど。どいてくんない?」