銀色ネコの憂鬱
第9話 秘密
———っうっヒック…
いつかの逆で、今度は菫が長い時間子どものように泣き続けていた。
「…泣かないでよ、スミレちゃん。」
椅子に座って俯いたまま泣き続ける菫に、蓮司は下から覗き込むようにしゃがんだ姿勢で声をかける。
「そんなにマジなやつだって思わなかった。ごめん…」
蓮司の言葉に菫は何も反応しない。
蓮司が暴いたのは、菫の一番大きな秘密—というよりも、気づかないふりをしてフタをして胸の奥にしまっていた感情だった。
———はぁ…
なす術のなさに蓮司は溜息を吐いた。
「スミレちゃん…」
「………さぃて…です…」
「ごめん」
“最低”という罵りの言葉でも、菫がやっと口を開いたことに蓮司はホッとした。
「もうさ、この際全部吐き出しちゃえば?明石さんのどこが好きで、どんだけ好きか。」
「………」
「スミレちゃんはそうやって泣いてるけど、別に悪いことじゃないじゃん。」
菫は首を横に振った。
「しゃちょ…は、けっこ…してるから…」
「恋愛ってそういうもんだよ。相手に好きな人がいようが、結婚してようが、気持ちはどうしようもない。」
蓮司は諭すように言った。
「………」
「俺しか聞いてないよ?」
「………」
「ね?」
蓮司は菫の瞳を覗き込んだ。
いつかの逆で、今度は菫が長い時間子どものように泣き続けていた。
「…泣かないでよ、スミレちゃん。」
椅子に座って俯いたまま泣き続ける菫に、蓮司は下から覗き込むようにしゃがんだ姿勢で声をかける。
「そんなにマジなやつだって思わなかった。ごめん…」
蓮司の言葉に菫は何も反応しない。
蓮司が暴いたのは、菫の一番大きな秘密—というよりも、気づかないふりをしてフタをして胸の奥にしまっていた感情だった。
———はぁ…
なす術のなさに蓮司は溜息を吐いた。
「スミレちゃん…」
「………さぃて…です…」
「ごめん」
“最低”という罵りの言葉でも、菫がやっと口を開いたことに蓮司はホッとした。
「もうさ、この際全部吐き出しちゃえば?明石さんのどこが好きで、どんだけ好きか。」
「………」
「スミレちゃんはそうやって泣いてるけど、別に悪いことじゃないじゃん。」
菫は首を横に振った。
「しゃちょ…は、けっこ…してるから…」
「恋愛ってそういうもんだよ。相手に好きな人がいようが、結婚してようが、気持ちはどうしようもない。」
蓮司は諭すように言った。
「………」
「俺しか聞いてないよ?」
「………」
「ね?」
蓮司は菫の瞳を覗き込んだ。