銀色ネコの憂鬱
蓮司のアトリエに着くと、そこは照明が消えて、しん…と静かだった。
(え…もしかして、私が来たいって言ったの忘れて出かけちゃったのかな…それとも寝てる…?)
菫は恐る恐るインターホンを鳴らした。するとすぐに蓮司が応答した。
「あの…」
『やっと来た。カギ開いてるから、そのまま入って来て。』
(……?真っ暗なのに…?)
———ギィ……
菫はゆっくりとドアを開けた。
アトリエの中は天窓から差し込む月明かりのおかげで、物にぶつからずに歩ける程度には明るかった。
「こっち。」
アトリエの奥から蓮司の声がした。
「ここに立って。」
蓮司に言われた通り、アトリエの奥のスペースの中央に立った。
「そのまま。」
(………?)
「…あの、一澤さ…」
———パチン…
蓮司が照明のスイッチを入れた。
「え……」
一瞬の眩しさに目を瞑って、また開いた菫の目に映ったのは壁に飾られた蓮司の絵だった。花やフルーツが描かれたキャンバスが何枚もある。普段は壁に立てかけられたり床に置かれている絵は片付けられ、壁にギャラリーのようにきれいに絵が並んでいる。
「これ…」
「一澤 蓮司の特別展へようこそ。」
蓮司が優しい声で言った。
(え…もしかして、私が来たいって言ったの忘れて出かけちゃったのかな…それとも寝てる…?)
菫は恐る恐るインターホンを鳴らした。するとすぐに蓮司が応答した。
「あの…」
『やっと来た。カギ開いてるから、そのまま入って来て。』
(……?真っ暗なのに…?)
———ギィ……
菫はゆっくりとドアを開けた。
アトリエの中は天窓から差し込む月明かりのおかげで、物にぶつからずに歩ける程度には明るかった。
「こっち。」
アトリエの奥から蓮司の声がした。
「ここに立って。」
蓮司に言われた通り、アトリエの奥のスペースの中央に立った。
「そのまま。」
(………?)
「…あの、一澤さ…」
———パチン…
蓮司が照明のスイッチを入れた。
「え……」
一瞬の眩しさに目を瞑って、また開いた菫の目に映ったのは壁に飾られた蓮司の絵だった。花やフルーツが描かれたキャンバスが何枚もある。普段は壁に立てかけられたり床に置かれている絵は片付けられ、壁にギャラリーのようにきれいに絵が並んでいる。
「これ…」
「一澤 蓮司の特別展へようこそ。」
蓮司が優しい声で言った。