銀色ネコの憂鬱
第21話 手
春秋文化社に着くと、蓮司は真っ直ぐ受付に向かった。今回の件とは別にこの出版社には訪れたことがあるようだ。
「この海老原 桜ってカメラマンに会いたいんだけど。」
蓮司が桜の名刺を受付で見せた。
「アポイントは…」
「一澤 蓮司って伝えてもらえばわかるから。」
受付の女性は内線でどこかに連絡している。
「…はい、イチザワさんという方が…はい、はい、わかりました。」
内線が終わった。
「エレベーターに乗っていただいて、6階の…」
案内された部屋に向かった。
菫は無言の蓮司にただ着いていくことしかできなかった。
6階の廊下を歩いていると、ある部屋の前で蓮司が足を止めた。
どうやら目的の部屋のようだ。
蓮司は形式的にノックをしたが、中からの返事を待たずにドアを開けた。
———ガチャ…
小さな会議室のような部屋には海老原ともう一人、40代くらいの男性がいた。
「思ったよりずっと早く来た。」
座っている海老原が笑って言った。
———バンッ
蓮司は机に雑誌を叩きつけた。
「この海老原 桜ってカメラマンに会いたいんだけど。」
蓮司が桜の名刺を受付で見せた。
「アポイントは…」
「一澤 蓮司って伝えてもらえばわかるから。」
受付の女性は内線でどこかに連絡している。
「…はい、イチザワさんという方が…はい、はい、わかりました。」
内線が終わった。
「エレベーターに乗っていただいて、6階の…」
案内された部屋に向かった。
菫は無言の蓮司にただ着いていくことしかできなかった。
6階の廊下を歩いていると、ある部屋の前で蓮司が足を止めた。
どうやら目的の部屋のようだ。
蓮司は形式的にノックをしたが、中からの返事を待たずにドアを開けた。
———ガチャ…
小さな会議室のような部屋には海老原ともう一人、40代くらいの男性がいた。
「思ったよりずっと早く来た。」
座っている海老原が笑って言った。
———バンッ
蓮司は机に雑誌を叩きつけた。